資産運用 銘柄分析

減配した高配当株、CDSを売り自重堂を残した決算の読み方

こんにちは、あひるです🐤

先日、同じ日に2つの高配当株の決算を見て、片方は全株売却、もう片方は継続保有と判断が分かれました。CDS(2169)自重堂(3597)です。

面白いのは、売ったのがチェックリストの点数が高いほうだったことです。8項目の採点ではCDSが3点、自重堂が2点。点数が低い自重堂を残して、点数が高いCDSを売りました。しかもCDSは含み益が+13.7%乗ったままの撤退です。

株価が下がったから逃げたわけではありません。配当の持続性が壊れたと判断したからです。そしてその判断は、決算発表の日にひねり出したものではなく、4か月前に自分で文書に書いておいた基準に、決算の数字を当てはめただけでした。

悩める人

持っている高配当株が減配して、配当性向も100%を超えました。売ったほうがいいのか、様子を見るべきなのか分からなくて…

その2つは「危ないかも」を教えてくれる入口の合図であって、答えそのものではありません。答えは決算短信の中にあります。この記事では、私が実際に使った4ステップの手順をそのまま公開します。同じ日に同じ手順を2銘柄へ当てたら、片方は売り、もう片方は継続に分かれました。

あひる

この記事は、こんな方におすすめです👇

  • 持っている高配当株が減配して、売るべきか迷っている方
  • 配当性向が100%を超えた銘柄をどう扱えばいいか知りたい方
  • 決算短信を開いても、どの数字を見ればいいのか分からない方
  • 「進捗率が低い」と言われても、それが本当にまずいのか判断できない方

それでは、Let's go 🚀


減配した高配当株を、含み益が出ている状態で売りました

売却したのは CDS(証券コード2169)。業務用マニュアルの制作とシステム開発を手がける会社です。全株を一度に手放しました。

数字だけ並べると、こういう状態での撤退です。

  • 損益: +13.7%(含み益が乗ったまま)
  • 配当: 年78円 → 74円へ減配
  • 配当性向: 110.6%(利益より多く配当を出している状態)
  • 倒産リスク: なし(自己資本比率80.78%・現金等39.38億円)

財務は健全です。潰れる心配をして逃げたわけではありません。高配当株として持っている理由が消えた、というだけの話です。

私が使っている売却ルールには、こう書いてあります。

自分で決めていた売却ルール

売りシグナルが出てもその場では売らない。決算を直接見て、①減益・減配が一時的か構造的か ②数字の推移と会社予想 ③倒産リスク ④成長要素が本業の縮小を補えるか を確認し、「高配当株としての魅力が戻る見込みがあるか」で保有継続か撤退かを決める。撤退するなら含み益が乗っているうちに

ポイントは「その場では売らない」の部分です。次の章で、なぜこの一文を入れているのかを説明します。


チェックリストの点数だけで売ってはいけない、2つの理由

私は保有株を、いわゆるリベ大式の8項目チェックリスト(売上高・EPS・営業利益率・自己資本比率・営業CF・現金等・配当・配当性向)で定期的に採点しています。

実はこの日、売り検討のシグナルが出ていた銘柄は2つありました。CDSと、作業服メーカーの自重堂(3597)です。両方の採点結果を並べます。

チェック項目CDS
(2169)
自重堂
(3597)
データのポイント
① 売上高×CDS:105→88.3億/自重堂:169→149→133億と4期連続減
② EPS(1株利益)CDS:154.9→66.9円/自重堂:391.6→495.4円と増益に転換
③ 営業利益率△(7.8%)(11.8%)合格ラインは10%。自重堂は基準クリア
④ 自己資本比率○(83.9%)○(89.9%どちらも財務は鉄壁。倒産リスクは考えなくてよい水準
⑤ 営業CF×自重堂は+39.8億→▲17.6億へマイナス転落(※後述)
⑥ 現金等自重堂:134→101億へ減少
⑦ 1株当たりの配当××CDS:78→74円/自重堂:600→500円。どちらも減配
⑧ 配当性向×(110.6%)×(100.9%)どちらも利益より多く配当を出している
合計スコア3/82/8点数だけ見れば自重堂のほうが悪い

表を見るかぎり、点数が低いのは自重堂(2点)で、CDS(3点)のほうがまだマシに見えます。

ところが実際に売ったのは点数が高いほうのCDSで、点数が低い自重堂は継続保有にしました。点数の順番と、判断の順番が逆になったわけです。

この時点で「怪しい」とは分かります。でも点数だけで売ってはいけない理由が2つあります。


理由1:点数は最大1年古い

悩める人

点数が低いなら、そのまま売ればいいのでは?

この手のチェックリストは「年に1回確定する決算」で採点されるので、決算期によっては最大1年古い数字を見ていることになるんです。

あひる

CDSは12月が決算期の会社です。つまり、私が見ていた「3点」は前の期に確定した数字で採点されたもの。その後に出た中間決算の内容は、この点数にはまだ1文字も反映されていません。次に点数が動くのは、次の通期決算が確定するときです。

後で見ていくように、中間決算の中身を踏まえると、この銘柄の評価はさらに下がる見込みです。つまり——

ここが落とし穴

点数が「まだ3点ある」ように見えていたのは、この銘柄がまだ壊れていないからではなく、点数の材料が古いからでした。スクリーニングの画面だけを眺めていると、この差は絶対に見えません。


理由2:×が複数あっても、原因は1つのことがある

もう1つが、自重堂のほうで起きていたことです。

上の表で自重堂は⑤営業CFが×⑥現金等が△と、2つの指標が同時に悪化しています。チェックリストはこれを2つの独立した減点として数えます。

ところが決算書を開くと、この2つはまったく同じ1つの出来事から出ていました。詳しくは後半に書きますが、機械の採点はこういう「原因の重複」を見分けられません。同じ理由で2回減点されるので、実態より悪い点数が出ます。

だから私のルールは「シグナルが出たら売る」ではなく、「シグナルが出たら決算を開く」になっています。チェックリストの役割は、開くべき決算を絞り込むことまで。合否を決めるのは決算書のほうです。


決算で見るのは1つだけ。「会社の予想に、実績が届いているか」

決算短信は情報の塊で、慣れないうちはどこを見ればいいのか分かりません。私は1点だけに絞っています。

決算で見る1点

会社が自分で出した予想に対して、売上と利益(EPS)が届いているか。

届いていれば、多少の悪材料は許容する。届いていなければ、なぜ届かないのかを掘る。高配当株の配当は利益から出るので、利益が予想に届かない状態が続けば、配当は必ず後から壊れるからです。

この物差しでCDSの中間決算を見ると、出てきたのは次の4つでした。

見たもの数字読み方
会社自身による下方修正営業利益の中間期予想を▲35.9%引き下げ決算発表の2週間前に会社が自ら出した。理由は「主要取引先での投資・経費削減の影響」=自社ではコントロールできない外部要因
中間期(上期)累計の営業利益前年同期比 ▲47.8%ほぼ半減。前年の落ち込みからの「下げ止まり」を期待していたが、止まっていない
通期予想に対する進捗率24.1%1年分の予想のうち、上期で4分の1しか進んでいない
配当性向110.6%稼いだ利益より多い額を配当に回している

とくに1つめが重いと感じました。下方修正の理由が「取引先の都合」だからです。自社の一時的なつまずきなら、翌期には戻る可能性があります。でも取引先が予算を絞ったのなら、いつ戻るかは相手次第で、こちらからは何も打つ手がありません。

そのうえで会社は、通期の予想を据え置いたままでした。上期で24.1%しか進んでいないのに、1年分の予想は下げていない。ここが今回の判断の分かれ目になりました。


「進捗24.1%は低い」への反論を、AIに出させて潰しました

ここが今回いちばん大事なところです。

「上期の進捗が24.1%しかない。これは通期予想に届かない」——そう考えたのですが、この結論にはすぐに反論できてしまいます

悩める人

でも、下期にたくさん稼ぐ会社なら、上期の進捗が低いのは当たり前なのでは?

正直に書くと、この反論は私が思いついたものではありません。自分の判断が甘くないかをAIに検証させたときに、返ってきたものです。言われてみれば当然の指摘で、これを潰せないうちは「進捗が低い」は売る理由になりません。

そこで、この会社が実際に「下期に稼ぐ会社」なのかを、過去の実績で確かめました。1年分の営業利益のうち、何%を上期で稼いできたかを並べるだけです。

上期で稼いだ割合タイプ
2022年12月期59.0%上期のほうが多い
2023年12月期53.8%上期のほうが多い
2024年12月期45.4%ほぼ半々
2025年12月期67.2%上期のほうが多い
2026年12月期(今期)24.1%過去4期のどれとも違う

答えは逆でした。この会社は過去4期とも上期のほうを多く稼ぐ「上期偏重」の会社で、その割合は45.4〜67.2%(平均56.4%)。「下期に挽回するタイプだから大丈夫」という逃げ道が、データで塞がっていたわけです。

この平均で今期の上期実績を割り戻すと、通期の着地はこうなります。

季節性で割り戻した通期の見込み

着地の見込み:3.6〜5.3億円(中心 4.2億円)
会社の予想:9.93億円
47〜64%の未達/前の期の実績6.85億円に対しても23〜48%の減少

回復するどころか、続落する計算になりました。


この計算にも反論してみる

フェアに書いておくと、この推計にも穴はあります。2024年12月期には、下期だけで8.22億円を稼いだ実績があるからです。「下期に大きく稼ぐのは不可能ではない」のは事実です。

ただ、その2024年は上期も6.85億円ありました。今期の上期は2.39億円で、2024年の上期の35%しかありません。上期が3分の1に縮んだ年に、下期だけ好調だった年の水準へ戻ると考える根拠が見当たらない。しかも直近の2025年は、下期が2.25億円しかありませんでした。

反論を検討したうえで、それでも結論は変わらない——ここまで確認して、はじめて「予想に届かない」を売る理由にできると考えています。


点数が低い自重堂を、なぜ残したのか

ここからが、この手順が「売るための理屈」になっていないことを示す部分です。

自重堂(3597)は作業服メーカーで、点数は2/8。CDSより1点低いにもかかわらず、継続保有にしました。

ひっかかったのは営業キャッシュフローが▲17.61億円とマイナスに転落したことです。前の期は+39.78億円ありました。営業CFは「本業でどれだけ現金を稼いだか」を示す数字なので、プラスからマイナスへの転落は、普通なら赤信号です。

ところが、マイナスの中身を開けてみたら景色が変わりました

営業CFの内訳(自重堂 2026年6月期)金額
税金等調整前 当期純利益+20.52億円
減価償却費+1.33億円
売上債権の減少+7.00億円
デリバティブ評価益▲1.63億円
棚卸資産の増加▲33.21億円
法人税等の支払額▲3.98億円
営業CF 合計▲17.61億円

利益は+20.52億円としっかり出ています。営業CFをマイナスへ押し下げていたのは、棚卸資産の増加 ▲33.21億円=在庫の積み増し1本でした。

そして在庫を増やした理由は、決算短信にはっきり書いてありました。前の期に欠品と納期遅れを起こして代理店やユーザーに迷惑をかけたため、欠品商品の早期入荷と新規協力工場の開拓で生産体制を立て直した——つまり意図的な在庫投下です。

つまり現金が減ったのではなく、現金が在庫に姿を変えただけでした。2期を通算すれば営業CFは+22.17億円で、同じ期間の純利益合計25.6億円とおおむね見合っています。稼ぐ力が消えたのではなく、運転資金が振れただけです。

ここで前半の「理由2」に戻ります。チェックリストで自重堂の点数を押し下げた⑤営業CF(×)⑥現金等(△)は、どちらもこの在庫の積み増し1つから出ています。現金が在庫に変わったのだから、現金が減るのは当たり前です。1つの出来事で2回減点されていたわけです。

逆に、点数が上がった②EPS③営業利益率のほうは、実際の増益をそのまま映しています。営業利益15.60億円(+7.9%)、経常利益20.78億円(+27.7%)、EPS 495.38円(+26.5%)と、売り検討の根拠だった「2期連続の減益」は消滅していました。減配(600円→500円)も、前の期の600円が配当性向153%という異常値だっただけで、500円は以前と同じ水準への戻りです。

2銘柄で結論が分かれた理由

CDS(3点・売却): 悪化の理由が取引先の都合で自社では手が打てない。しかも季節性で割り戻すと会社予想に大きく届かない。

自重堂(2点・継続): 悪く見えた数字の主因が説明のつく在庫投下で、利益自体は増えている。売り検討の根拠だった減益が解消した。

違いは点数の高さではなく、悪化の原因を会社が説明できているかどうかでした。

なお、この継続判断は無条件ではありません。積み増した在庫が売上に変わらなければ、それは「意図した投資」ではなくただの売れ残りになり、⑤と⑥は×のまま居座ります。次の四半期決算(2026年11月予定)で棚卸資産が減って売上が戻っているかを確認する、という条件つきの継続です。そこで戻っていなければ、継続の前提そのものが崩れます。

ちなみに自重堂も、売上は177→169→149→133億円と4期連続で減っており、本業が縮んでいること自体は変わりません。「問題がない会社」だから残したのではなく、「今回の決算で見た悪材料に説明がついた」から残した、というだけの話です。


配当を1回捨ててでも降りました

売却のタイミングについても書いておきます。

今回の売却で、私は期末配当37円(1株あたり)を受け取る権利を放棄しました。この会社の期末配当は12月末時点で株を持っている人が対象なので、その前に売れば当然もらえません。

悩める人

配当がもらえる12月まで待ってから売ればよかったのでは?

私もそこは迷いました。ただその配当自体が、減らされる側にあるんですよね。

あひる

会社の予想配当性向76.1%は、1株あたり利益97.22円を達成できる前提で計算されています。ところが上期の進捗は24.1%で、前の期の実績は66.93円。実績水準にとどまれば、配当性向はまた110%超へ逆戻りします。

つまり「12月まで待てば37円もらえる」という前提そのものが、あやしい。あやしい配当を取りに行くために、判断がついた銘柄を4か月持ち続けるのは、私には割に合いませんでした。

もうひとつ大事なのは、これが損切りではないことです。含み益は+13.7%乗ったままでした。ルールにも「撤退時は含み益が乗っているうちに」と書いてあります。

高配当株は、株価が下がってから慌てて売ろうとすると、たいてい配当も株価も両方失っています。まだプラスのうちに降りられるかどうかが、この投資でいちばん難しいところだと感じました。


この手順は誰でも引けます(まとめ)

今回使った資料は、たった2つです。

  • 決算短信(会社が出している一次情報。企業のIRページで誰でも読める)
  • IRバンク(過去の業績推移を無料で見られるサイト。上期・下期の内訳もここで引ける)

有料のツールも、特別なデータも使っていません。手順としてはこの4ステップです。

  1. チェックリストで候補を絞る。 ただしその点数は最大1年古いと知っておく
  2. 決算を開いて、会社の予想に実績が届いているかだけを見る。 届いていなければ理由を読む(自社の問題か、取引先の問題か)
  3. 進捗率は、季節性で割り戻してから判定する。 過去数期の「上期で何%稼いだか」を並べて、その会社が上期型か下期型かを先に確かめる
  4. 悪く見えた数字は、中身を開ける。 原因が1つに特定できて説明がつくなら、点数ほど悪くないことがある

正直に書くと、高配当株は買った後が放置になりがちでした。配当が振り込まれている限り、わざわざ決算を開く動機が生まれないからです。

今回、事前に決めておいた基準に沿って、感情ではなく手順で降りることができました。高配当株投資でいちばん効くのは、買うときの利回りではなく、想定と違ったときに降りられるかどうかだと思っています。

まとめ

点数の順番と、判断の順番は一致しない(3点を売って2点を残した)
・チェックリストの点数は最大1年古い。候補を絞る道具であって、答えではない
・決算で見るのは「会社の予想に届いているか」の1点
・進捗率は季節性で割り戻してから判定する(上期型か下期型かを先に確かめる)
・悪く見えた数字は中身を開ける1つの原因で2回減点されていることがある
・撤退するなら含み益が乗っているうちに


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⚠️ 免責事項: 本記事は私自身の判断の記録であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。掲載している数値は執筆時点で公表されている情報にもとづきますが、正確性を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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