資産運用 銘柄分析

日経+27%、高配当は日本?米国?14本で検証

こんにちは、あひるです🐤

日経平均が年初来で+27%と歴史的な上昇を見せ、「日本の高配当株がアツい」という声をあちこちで見かけるようになりました。一方で、これまで人気だった米国の高配当ETFは「株価が上がりすぎて利回りが下がった」とも言われます。

では、いま高配当で狙うなら日本なのか、米国なのか?——雰囲気ではなく、2026年6月12日時点の実データで日米14本のETFを並べて検証してみました。結論から言うと、話は「日本が勝ち」ほど単純ではありませんでした。

それでは、見ていきましょう。

この記事は、こんな方におすすめです👇

  • 高配当ETFを「利回りの数字」だけで選びそうになっている方
  • 日本株と米国株、いま新規で買うならどちらか迷っている方
  • JEPQやQYLDのような「利回り10%超」ETFの仕組みとリスクを知りたい方

いま市場で何が起きているのか

個別のETFに入る前に、土台となる「相場の今」を数字で押さえておきます。ここを外すと、利回りの数字を読み違えます。

指標水準年初来ひとこと
日経平均64,179円+27.5%歴史的な上昇。ガバナンス改革・増配・AI半導体の好業績が追い風。
S&P5007,394+8.0%こちらも上昇基調だが、上げ幅は日本より穏やか。
米ドル/円約160円+2.2%52週高値圏の超円安。米国資産は「割高な為替」で買う形に。
日本10年金利2.68%大幅上昇日銀の正常化で金利が急上昇中。銀行・保険には追い風。
2026年の日経平均とS&P500の年初来パフォーマンス、およびドル円の推移
2026年・年初来パフォーマンスとドル円の推移(yfinanceデータより作成)

ポイントは2つ。①日本株はモメンタムも構造改革も明確に強い②ただし円は超円安で、米国資産を今から買うと為替面では割高なエントリーになります。逆に言えば、すでに持っている米国資産から入ってくる「ドルの分配金」は、円換算では膨らんでいるということでもあります。


「高配当」はまず3タイプに分けて考える

「高配当ETF」とひとくくりにされがちですが、中身はまったく別物の3タイプに分かれます。ここを混ぜて比べると、必ず判断を誤ります。

  1. 米国・広範囲高配当ETF(VYM・SCHD・HDV・SPYDなど): 配当の多い米国株を幅広く詰め合わせたタイプ。利回りは2〜4%台。
  2. 米国・カバードコール(インカム)ETF(JEPQ・QYLD・JEPIなど): 株を持ちながらオプションを売り、その手数料収入で利回り8〜12%を生む特殊なタイプ。
  3. 日本・高配当ETF(日経高配当50など): 配当の多い日本株の詰め合わせ。利回りは2〜4%台。

それぞれ、2026年6月12日時点の実データで見ていきます。


① 米国・広範囲高配当ETF:利回りは下がったが「死んでいない」

ティッカー分配金利回り年初来リターン特徴
SPYD4.11%+12.2%S&P500の高配当上位を集中保有。利回りの高さが際立つ。
SCHD3.27%+18.3%連続増配の優良株中心。株価上昇で利回りは圧縮気味。
HDV2.86%+13.7%財務優良な高配当株。ディフェンシブ寄り。
VYM2.23%+10.4%銘柄数の多い王道。利回りは2%台まで低下。
DGRO1.97%+8.4%増配重視型。利回りより「将来の増配」を取る設計。

たしかにVYM(2.2%)やDGRO(2.0%)を見ると、「米国の広範囲高配当は利回りが下がって旨味がない」という指摘はその通りです。株価が大きく上がったぶん、利回り(=配当÷株価)は薄まりました。

ただし一様に死んでいるわけではありませんSPYDは利回り4.1%を保ちながら年初来+12%と、利回りと値上がりを両立しています。「米国=もうダメ」と十把一絡げにすると、こうした例を取りこぼします。


② 米国・カバードコールETF:利回り10%超の「裏側」

ティッカー分配金利回り年初来リターン特徴
QYLD11.7%+1.4%ナスダック100にカバードコール。NAV(基準価額)減価が大きい。
JEPQ10.6%+1.6%同種だが上昇余地を一部残す設計。減価は中程度。
JEPI8.3%-2.8%S&P500ベース。年初来はマイナス(200日線割れ)。
MSTY(参考)名目300%超-43%単一株オプション型。高すぎる利回りの裏で基準価額が半減。
悩める人

利回り10%超ってすごい!広範囲高配当より圧倒的にお得じゃないの?

ここが一番の落とし穴です。カバードコールは「株を持ちながら、値上がり益を受け取る権利を他人に売る」仕組み。毎月の分配金(=権利を売った手数料)は手に入る代わりに、株価が大きく上がってもその恩恵をほとんど取れません。だから利回りは高いのに、基準価額(NAV)が育たない=年初来リターンが+1〜2%に張り付くんです。

あひる

これは感覚論ではなくデータに出ています。代表格のQYLDは、過去5年のトータルリターンが約44%。同じ期間のナスダック100(QQQ)は約100%でした。つまりカバードコールは、市場の値上がり益の半分以上を「高い分配金」と引き換えに手放しているのです。

極端な例がMSTY。名目利回りは300%超という数字が出ますが、年初来で基準価額が-43%。これは「利回りが高い」のではなく「元本が溶けながら分配している」状態に近い。利回りの数字だけで飛びつくと、いちばん危ないのがこのタイプです。

誤解のないように補足すると、カバードコールETFが「ダメ」という話ではありません。値上がりより毎月のキャッシュフローを最優先する人には合理的な選択肢です。超円安の今は、ドル建ての分配金が円換算で膨らむ追い風もあります。要は「値上がりを捨てて現金収入を買う商品」だと理解して使うことが大切、ということです。


③ 日本・高配当ETF:追い風は本物。ただしETFの利回りは意外と控えめ

コード名称分配金利回り年初来
2564グローバルX スーパーディビィデンド日本株4.49%-4.7%
1489NEXT FUNDS 日経平均高配当株502.89%+9.5%
1577野村 日本株高配当702.86%+9.1%
1698上場インデックス 日本高配当2.83%+5.5%
1478iシェアーズ MSCIジャパン高配当2.23%+4.9%

ここが今回いちばん意外だったところです。日本株全体は+27%と絶好調なのに、主流の日本高配当ETF(1489・1577など)の利回りは2.9%前後。実は米国のSCHD(3.3%)やSPYD(4.1%)と大差ない、むしろ下回る水準まで圧縮されています。理由は米国と同じで、株価が上がったぶん利回りが薄まったからです。

つまり「日本の高配当ETFを買えば利回りで得をする」とは言い切れないのが現状。日本で4〜5%の利回りを狙うなら、ETFよりも個別の高配当株(商社・銀行・保険など)に目が向きます。そしてこの領域こそ、日銀の利上げ(銀行・保険の収益改善)やガバナンス改革による増配・自社株買いという構造的な追い風が最も効くゾーンです。日本株の妙味は「高配当ETF」より「個別の高配当・割安株」にある、というのが数字の示すところです。


📊 1枚で一望:利回りが高いほどリターンは低い

14本を「分配金利回り(横軸)×年初来リターン(縦軸)」で散布図にすると、構造がはっきり見えます。

日米高配当ETF14本の分配金利回りと年初来リターンの散布図
日米高配当ETF14本のマッピング(2026年6月12日時点・TradingViewデータより作成)
  • 右下のカバードコール群(JEPQ・QYLD・JEPI): 利回り8〜12%と高いが、年初来リターンはゼロ近辺。「現金は入るが元本は増えない」が一目でわかる。
  • 左上の広範囲高配当群(SCHD・HDV・SPYD): 利回りは控えめでも、値上がりでしっかりプラス。トータルでは厚い。
  • 日本ETF(1489・1577など): ちょうど真ん中。米広範囲高配当とほぼ同じ立ち位置で、突出した優位はない。

「利回りが高いほどエラい」のではなく、利回りとトータルリターンはトレードオフ。この一枚が、高配当投資でいちばん大事な視点を言い表しています。


🎯 結局どっちが買い?あひるの結論

「日本 vs 米国」という二択ではなく、目的別に3タイプを使い分けるのが、データを踏まえた現実的な答えだと思います。

3タイプの使い分け

  1. 値上がりも取りたい(資産形成期): 米国の広範囲高配当(SCHD・SPYD)か、構造改革の追い風が効く日本の個別高配当株。利回り3〜5%+値上がりを両取りする発想。
  2. 毎月の現金収入を最優先(取り崩し期): カバードコールETF(JEPQなど)。ただし「値上がりは捨てる・NAVは育たない」を理解した上で、ポートフォリオの一部に。
  3. どれも“高利回り=正義”ではない: 利回りの数字よりトータルリターンで見る。MSTYのような名目300%は「元本が溶けている」サインのこともある。

そして今の相場環境を一言で言えば——モメンタムと構造改革は日本、毎月のインカム装置としては米国カバードコール、トータルの効率なら米国の広範囲高配当。それぞれ役割が違うので、「どっちか」ではなく「どう組み合わせるか」で考えるのが正解です。

なお、利回りの裏側がいちばん極端なのが、以前取り上げた仮想通貨×カバードコールの「CEPI」です。利回り40%超のカラクリを掘り下げているので、②のタイプをもっと知りたい方はあわせてどうぞ。

参考記事

日本株も米国ETFも、1つの口座で

今回の3タイプ(日本の高配当株・米国の広範囲高配当ETF・米国のカバードコールETF)は、いずれも松井証券なら同じ口座で取引できます。日本株は1株から、米国株・ETFも手数料体系がシンプルで、NISA成長投資枠にも対応。「日米を行き来しながら高配当を組み立てたい」という今回のテーマと相性が良い証券会社です。口座開設・維持は無料なので、選択肢を広げる入口として持っておくと便利です。

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⚠️ ご注意: 本記事は2026年6月12日時点の公開データ(TradingView)をもとにした情報提供であり、特定の銘柄・ETFへの投資を推奨するものではありません。利回り・株価・為替は日々変動し、過去のトータルリターンは将来を保証しません。とくにカバードコールETFは「値上がり益を放棄して分配金を得る」高度な商品で、基準価額(NAV)が下がり続けるリスクがあります。投資は必ず余剰資金で、まずはオールカントリーやS&P500などのインデックスをコアに据えたうえで、最終的な判断はご自身でお願いします。

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